男は思った
「眉毛いじるくらい自分ですぐ出来るべ」、と
眉毛の手入れなど経験も、知識も、技術も無い
とにかく根拠はないが男はなんか自分でも出来ると思っていた・・・
もはや言葉はいらない────
───そのやる気に満ちた顔は何も考えていないことを雄弁に語っていた
「調べたら出てきたこの眉毛の黄金比ってやつにするだけでいいんだぁ」
─────そして男は知ることになる、眉毛の奥深さと毛深さを
男はさっそく髭剃りを顔面に走らせた!!!
T字の髭剃りを・・・!
いや無茶だ!こんな普通の髭剃りで眉毛を剃るなど!
男はI字剃刀もトリマー?も持っていないのだった
こんなんでよく自分でやれるとか思ったな
「いやこれじゃ無理だろ」
流石に気付いた男はとりあえず眉毛用の剃刀とかを買うために
近くの薬局へ向かうのでした
ちなみに売ってなかったので結局amazonでポチッった
なんて無駄な時間を・・
そして紆余曲折を経て、ついに男は黄金比の眉毛を手に入れた
それが・・・
これだ
・・・
・・・・・
・・・・・・
・・えっ・・・・
ショボーン?
(´・ω・`)ショボーンの眉毛だこれ
突然鏡に姿を現すショボーン
流石に男は大層落ち込みました
落ち込んでることを表現することに関しては一級品の眉と言えます
「黄金比ってやつの通りにしたじゃねえが!」
黄金比と言っても比率だけ守ってもダメなようです
肝心の形を整えなければ意味がありません
しかし男には理想の眉の形も形の作り方もわからないのです
その上、手先は不器用でブサイクで仮性包茎です
「仕方ない、世の中の男の眉毛を集めて参考にするべ」
そうして男は貴重な休日を使い
ネットで男の写真を保存しては眉毛を切り抜く
という猟奇的とも言える時を過ごしたのでした
その成果の程はと言うと・・
眉毛コレクション
誰の眉毛かわかるかな!?全部正解しても特に何もありません
それにしても俳優やイケメンソルジャーの方々の眉毛はやはり
キリっとした印象ですね
ショボーンの眉毛をどう弄ればこうなるのか・・?見当も付きません
根本的に構造が違うとしか思えないのです
「どうしたらこんなかっこいい眉毛になるんだぁ・・」
もうダメなのか・・?一発目から挫折してしまうのか・・・?
諦めかけたその時、再び脳内のイマジナリーメスガキが語りかけて来たのです!
「眉毛の手入れもできないなんてだっさ~~い♡」
「よわよわ眉毛♡ざこ眉毛♡」
「!?メスガキ!結婚してくれ!」
「そんなざこ眉毛で結婚とか言われても困るんですケド♡」
「自分で手入れも出来ないザコなら眉毛サロンでもいけばぁ~♡」
「眉毛・・サロン・・?」
眉毛サロン・・聞きなれない単語だった
「キャハッ♡ ほんっと陰キャ~♡眉サロンも知らないんだ♡」
「しょ~がないからメスガキ眉毛サロンに招待したげる~♡」
男の意識が遠のいていく────
目を覚ますと男はメスガキ眉毛サロンの扉の前に立ち尽くしていた
「くさいおぢさん♡そんなとこ立ってたら邪魔だよ♡入って入って♡」
「メスガキ眉毛サロンへようこそ~♡」
「ここでは臭いおぢさんみたいな人の眉毛もプロの技術で整えちゃいマス♡」
「あっ、おぢさんが好きそうなことするようなお店じゃないから、変なコトは期待しないでね~♡」
「当店ではまず理想の眉毛の形を決めて、ゆっくりその形に近づけていくよ~♡」
「大体ね~、月に一回来て♡それで5~6回くらい通えばぁ・・♡」
「おぢさんみたいな醜いブサイクでも!理想の眉毛になっちゃいま~~す♡」
「それじゃ、まずは眉のワックス脱毛するからそこに寝てね~~♡」
「はい・・あっ・・あつ・・アッツゥイ!!!これ熱ゥイ!!」
「無様すぎるから暴れないでね~~♡ほんとざこ♡我慢しろ♡」
「アツゥイ!!」
男は泣いた、実際騒ぐ程の熱さではないのだが、眉毛が火事という
未知の感覚が男を狂わせた
まあほんとは最初からこんな文章書くくらい狂っていたのだった
「落ち着けざこ♡ワックス固まったから剥がしていくからねぇ~♡」
「ペリペリ・・♡」
「痛い・・・痛いよママ・・」
「痛いのは次の毛抜きで最後だからがんばれ♡ざこ♡」
男はほんと涙目で無様雑魚なのであった
「初回は眉がぼーぼーだからたくさん抜けて痛いんだヨ♡最初だけだからね♡」
「さ、こんなに抜けました~~♡抜けたざこ眉毛はこちらで~~っす♡」
「今までありがとう・・!雑魚眉毛・・!」
「次は毛抜きしてきま~・・♡プチ..プチ...っと♡」
「痛い・・チクチクする・・」
「ほんとざこ・・♡ ま、次はカットだからざこでも安心♡」
「チョキ・・チョキ・・チョキ・・♡」
「・・・はい・・できあがり・・♡」
before
after
まだ若干(´・ω・`)ショボーンだけど水平に近づいてますね
「元々が結構ざこ眉毛だから完成まではもう少しかかるよ♡」
「・・え、鼻の角栓取りも注文してたの? ♡もぅ~しょ~がないなぁ♡」
「じゃ~顔にホットタオル乗せるからね~~♡」
「3分くらい待ってね~~♡(メスメス・・ガキガキ・・♡)」
「・・・じゃ、鼻の毛穴が開いたところでぇ♡」
「この謎メスガキ機械で鼻の角栓を吸い出したげるね♡」キュポスッ・・キュポスッ
本当に謎機械なのであった
どこで売ってるのそれ
「はい、おしまい♡くっさいからお会計してさっさと帰ってね♡」
眉毛カット以外にもサービス付けたからちょい高いな
次はカットだけでいいか・・
ちょっと高く感じるけど、本当に6回くらい通えば安定するなら
数万円で眉毛のコンプレックスが解消されると考えると悪くないかな
本当にそれくらいの回数で済むならだけど・・個人差もあるだろうし
「レシート見て急に素に戻らないでくれる?♡じゃ、バイバイ~~♡」
男はメスガキサロンの夢から覚め、最後に冷静になってしまった
そして薄れゆく意識の中、男は思った
普通に行ったお店の紹介とかする記事を書きたかった・・と
しかし、ブログへの具体的な店舗情報の掲載は断られたため
ヤケクソでイマジナリーメスガキ店舗♡紹介となり
結果、いよいよ人に見せられない雑魚ブログに成り果てたのであった────